マスメディアへ不審と怒り

今日は雨で仕事は休み(山仕事に日曜は関係なし)。なので、朝からTVを観ていた。TBSのサンデーモーニング。日曜日の朝に、先週一週間を振り返って...という番組。
先週もいろいろと世の中を賑わす出来事があった。民主党のメール騒動続編、麻原の裁判、それから1億円ヤミ献金事件の判決。出演者のコメントはどれも“他人事”で面白くもない。こんなTV番組を見るのは単に習慣でしかない。あまり好ましくない習慣だ。
けれど、面白くない“他人事”コメントの中に聞き捨てならないものがあった。1億円ヤミ献金事件に対する岸井成格氏のコメント。思わずTV画面に向かって非難の声を挙げてしまった。横で妻が冷たい目で私を見ていた...。
 
事件の顛末を新聞から抜粋しておく。

span style="font-weight:bold;">村岡元長官に無罪判決 1億円ヤミ献金事件
 自民党橋本派政治団体平成研究会」の1億円ヤミ献金事件で政治資金規正法違反の罪に問われた同会元会長代理で、元官房長官村岡兼造被告(74)に対し、東京地裁の川口政明裁判長は30日、無罪(求刑禁固1年)の判決を言い渡した。判決は、検察側が立証の最大の柱とした「元長官に裏金化を指示された」という滝川俊行・同会元会計責任者=有罪確定=の証言について、「到底信用できない」と判断。1億円が実質的に橋本元首相に対する個人献金だった可能性があるなどと指摘したうえ、裏金化の実行者だった滝川元会計責任者が橋本元首相や元宿仁・自民党事務局長に累が及ぶのを避けるため、あえてこうした証言をした可能性があると強調した。
朝日新聞記事より

この事件に対し、岸井氏は「最初からおかしいと思っていた」とコメントした。ちょっと待て。岸井氏の職業は何だ? 新聞記者ではないのか? それも論説委員というエライさんだろう? おかしいと思うなら何故それを自分のメディアで追及しない? と思いながら聴いていると、さらに一億円を裁判所が橋本元総理への個人献金ではないかと指摘している点について、
橋本元総理は派閥の子分に金を配らなかった。それでは派閥の頭領としては持たない。そう誰かが助言した。それがこの事件の発端にあった(コメントの細かいところまで憶えていないが、要旨には間違いないと思う)。」
おかしいも何も、ちゃんと顛末を知ってたんじゃないか。
そういえば昔、立花隆氏が『田中角栄の研究』を出したとき、田中元総理の番記者たちは「そんなことは知っていた」と嘯いたそうな...。
顛末を本当に知っていたかどうかは憶測だが、岸井氏はその立場から言えば「最初からおかしいと思っていた」などという他人事コメントを吐くことなど許されないはずだ。さらに、もし顛末を知っていたとすれば?
岸井氏が論説委員を務める毎日新聞の3月31日の社説は「裏献金判決 では、一番悪いのは誰だ」というものだったが、一番悪いわけではないにせよ、悪い奴の中に毎日新聞や岸井氏も入ると思ってしまう。
以下も憶測だが、メディアの記者たちは日々政治家たちと接するうちに「仲間意識」が出来てくるのだろう。「オフレコ」などといって、その仲間意識から通常では聞けないようなことも聞き出したりできる。それは自然なことだし否定する気もないが、職業意識を忘れてもらっては困る。
新聞やTVはよく「知る権利」をふりかざす。「知る権利」は必要だ。だが、こういうのを見ているとメディアがいう「知る権利」とはメディアのためのものではないかと思わずにはいられない。画面や紙面の向こう側に居る我々の「知る権利」には思いが至っていない。私たちには記者たちが知りえたことへの「知る権利」がある。自分たちが何によってメシが喰うことができているのか、考え直した方がいい。
政治家との仲間意識から視聴者読者への「知る権利」を果たせないと考えたなら、さっさと仕事は辞めろ。のこのことTVに出てきて中途半端なことは言うものではない。腐っている。