天下り廃止が違憲 

最新のニュースをチェックしていたら、こんな記事が目に飛び込んできた。

天下り根絶に法案化の壁 「廃止」明記に違憲の恐れ
政府が約束した政府系金融機関への「天下りの廃止」の法案化作業が難航している。憲法で保障された「職業選択の自由」を制約する恐れがあるうえ、言葉の解釈にてこずっている。あいまいな規定にすれば骨抜きとの批判を招きかねない。

バカなことを。小賢しい官僚どもの考えそうなことだ。そしてこんな官僚どもの言い分を無批判で掲載する新聞も問題だ。
憲法22条1項に「何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する」とある。天下りの禁止が、なぜこの条項に違反するというのか?“公共の福祉に反しない限り”という限定が入っているではないか。
医師や弁護士などの職業は、誰もが望めばなれるというものではない。こんなことは至極当たり前のことで、議論する余地もない。また例えば犯罪の前科を持っている者一定の公務員にはなれないというのも“公共の福祉に反しない限り”という記述が根拠になっているのだろう。
「公共の福祉」って何だ? 公務員の天下りが「公共の福祉」に反しているから、それを規制しろという議論が出てくるのだろう? 
憲法はもともと国家権力を制限するためのものだ。公務員の天下りが、民間の企業間で行われるものと比べて問題があるのは、それは国家の持つ“権力”を背景にして行われるからだ。
営利企業への天下り禁止すら離職後2年間に限られており、「政府系金融だけ永久に禁じる理由が見あたらない」”ということらしいが、確かに永久に禁じるのは難しいかもしれない。しかし「禁止の期間が2年間」という根拠もまた無い。これくらいなら大丈夫だろう、という程度の規定だ。2年間の禁止だけでは「公共の福祉」に反する問題が生じているわけだから、2年間を延長すればよい。20年くらい禁止にしておけば、“永久に禁止”と同様の効果が期待できるだろう。
法律の条文を弄繰り回すのは、官僚たちの得意分野のはずだ。この程度のことは彼らにとっては朝飯前だろう。それをしないのは、彼らにそれをしたくない理由があるだけのことだ。