カード情報流出問題

報道される被害の規模が、どんどん大きくなってくる。
続々と判明する被害をその都度報道するわけだから、時間がたつにつれて規模が大きくなるのも道理で、
この手の現象はいつも見られることだ。
報道の速報性が進歩した影響なのだろうが、おかげでひとつ大きな事件があると
マス・メディアでそのことばかり何度も見聞きさせられる羽目になる。
 
道理という点でいうと、モノであれ情報であれ、管理するには一箇所で行う方が効率が良いのであるが、
反面、その一箇所がダメージを受けると被害が大きくなってしまうということもある。
今回の事件も情報の集中管理が仇となったようだ。
事件の原因は管理会社の不手際のようだが、被害が大きくなったのには「集中」ということもあるだろう。
人間の「不手際」が根絶不可能であるとするならば、対策としては被害を最小限に抑える、
つまり分散させるということしかないが、
情報化社会の進歩でモノについては、分散していても情報のやり取りによって効率的に動かせるようになりつつあるが、
情報そのものの管理については、いまだ危険回避の道筋すら見えてないようだ。
むしろ、情報化社会で危険性が増しているように思える。
 
こんなことは私が指摘するまでもなく、エライ識者の方々がいろいろと発言してくださるだろし、
いろいろな対策がこれからもなされていくだろう。
バカの考え休むに似たりで、私ごときが考えてみても何の役にも立ちはしないだろうが、
今日は雨で暇なので、暇つぶしにあれこれ考えてみることのも悪くないか。
 
ユビキタスによって世界が変わる、なんて一部では言われているみたいだが、もしこのような社会が実現すれば、
このような犯罪は不可能になるわけではないにせよ、メリットはなくなるのではないかな。
不正使用したカードで品物を手に入れたとしても、その品物にICタグがついていて追跡可能となると、
たちどころに捕まってしまうだろう。
だとすると、誰もそんな割に合わない犯罪は犯さなくなって、メデタシ、メデタシ。
 
けど、そんな社会ってなんだかイヤな感じがする。いつでも見張られているみたい。
警察なんかは仕事がやりやすくなって、喜ぶだろうけど。
きっと、個人のプライバシーとどう折り合いをつけるかかが問題となるだろうな。
いや、すでに問題になってるか。
 
情報の集中管理とプライバシーの保護、って二律背反の命題だ。
どこかに情報が集中して誰ががそれを管理するってことには、
管理者にはプライバシーなんて筒抜けになる道理。
その管理者には高いモラルが求められるってことだが、そんなこと期待できることなのだろうか。 
難しいような気がする。
 
ならば情報を管理を「集中」ではなく「分散」、情報の分散管理なんてことは不可能だろうか。
現在の個人情報のあり方で問題だと感じるのは、個人自らの積極的な情報管理が不可能であるということ。
国や企業には、国民や客についての個人情報が必要だ。これがなければサービスが提供できない。
だが一度サービスの提供を受けると、そのとき渡した個人情報が自らの管理を離れ、
その企業なりの組織のモラルに任せるしかないという状況は、なんとかならないものだろうか。
己についての情報は自ら管理するというようなことが、
これまでのIT技術の延長線上で可能ではないかと思ったりするのだが…。
 
Windowsではショートカット、Macではエイリアス、ネットではリンク、
このように情報本体は別の場所にあるのが、いつでも必要なときにその情報を呼び出すことができる、ってのがある。
この考えの延長線上で、個人情報本体は個人のサーバに、企業などのサーバにはリンクを、ということにすれば、
その情報が呼び出されることがチェックできるから、自らの情報を管理することが可能になる。
当然、情報本体のコピーは禁止でなければならない。
このリンクはネット上で公開され、いつでも誰でもアクセスできるが、
いざ情報本体にアクセスしようとすると、個人の側で許可したところにしか情報は流れない。
そしてこのリンクは公開であるから、
個人はいつでもネット検索で自分についての情報のリンクをだれが保有しているか、チェックできる。
個人は自らの責任で己の情報を管理しているわけだから、もし個人情報本体が流出してもそれは個人の責任となる。
 
個人情報を自ら管理するとなると、原理的にはこんなとこか。
原理はさほど難しくはないが、実現するには前提条件が厳しいか。
まず、個人には管理できないところにあるもの、
つまりアナログで保存された情報、デジダルでもネット上で公開されていないものは排除しなければならなし…。
 
う〜ん、他にもいろいろ穴がありそう。
やはり、「バカの考え〜」ってのが結論か。