不吉な話

昨日の講座には達っちゃんも参加していたのだが、昼休みだったか、その達っちゃんが不吉なことを言った。
今年は例年になく山の草木が花をつけている、と。
このことについては、私も「黄色い山」で触れたが、達っちゃんもそう感じていたらしい。
山に花がいっぱい、というのはとてもよいことのように思えるかもしれないが、さにあらず。
何事も度を越すとよくない。特に自然のことはそうだ。
今年の花の付き具合は、どうみても異常だと達っちゃんは言う。
 
木には不思議な性質があって、その寿命が尽きようとするときには、たくさんの花を咲かせ、実を実らせるという。
これは子孫を残すための生命の最後の輝きだ、などと言うとちょっとウソっぽい気がするが、
達っちゃんがいうには、これは本当にあることらしい。
ある木の実が欲しいと思ったときに、木の幹を針金のようなものでギリギリ締め上げてやって、
たくさん実を収穫したことがあったという。
今年の山での花の咲き方は、このことに似通っているような気がすると、達っちゃんは言うのだ。
 
さらに達っちゃんは言った。
今のこの豊かな生活、昔のことを思うとなんだか夢のようだ、と。
この夢は死ぬまで覚めてくれなければいいが、どうもそうもいかないような気がする、と。