みんな同じ

今日は源流館インタープリター講座の初日で、この日の講師は昨年の講座と同じ、松木 正さんであった。
今回は妻とふたりでの参加。彼女にも松木さんの講座の面白さを体験してもらいたかったからだが、
期待に違わず、今回も大変印象深い内容でした。
 
今回の講座で改めて感じ、確認したことをまず書いておきたい。
それは、「人はみんな同じなんだなぁ」ということ。
 
彼の講座に参加し、話を聞き、皆とともにゲームに参加していると、
だんだんと安心感を持つようになってくる。
見知らぬもの同士が集まって、どうして緊張してしまう最初の場の雰囲気が、
見る見るうちに柔らかいうちとけたものになってゆく。
これはアイスブレーキングといって、文字通り皆の凍った心を溶かす、
インタープリテーションを行うに当たってまず最初にインタープリターがしなければならないことだと、
松木さんが説明し、それを皆に向かって実践してみせた成果なのだが、この過程が実に面白い。
 
誰もが皆、安心したいと思っている。けれど、それが出来ずにいる。
それはそうだ。周りを見知らぬ人に囲まれているのだから。
松木さんは実にうまく、皆の緊張を解きほぐしてゆく。
見事なものだと今回も感心したが、結局、こんなことが出来るのも皆は本当は安心を求めているからなのだ。
その意味で「みんな同じ」なのだ。
緊張が解れていくなかで、周りの人も安心したいと思っているのを感じるようになり、自分も周りの人もみな「同じ」、
それが感じられるようになると、もう「安心」になる。皆同じなのだから。
松木さんは、こういう人の心の動きを熟知しているのだろう。
 
この安心感からもたらされるのは、充足感である。
安心すると、みな自分を表現できるようになる。
自分の思ったこと感じたことを、つい先ほどまで見ず知らずだった人に恥ずかしげもなく話ができるようになる。
そして、自分も話を聴くことが(これは「聞く」ではなく「聴く」である)できるようになる。
自分を主張することができるようになり、それが受け入れられる。それが充足感をもたらす。
そして、これがまた、みな同じ、なのだ。
 
たった半日の講座で、参加者に安心感・充足感を感じさせる雰囲気に導いたあと、
松木さんは最後に、自らのインディアン居住区での話をされた。
そして彼がインディアンたちから学んだものについて語った。
人としてもっとも大切なものは信頼である、と。
信頼のないところからは何も生まれない、と。
信頼は「accept」、受け入れることから生まれる、と。
まずは自分自身を受け入れることが大切だ、と。
 
これだけを読んでしまうと、なんと青臭い、おセンチなことを言っているのだろうと思う。
いきなりこんなことを人から言われたら、まず誰もが面食らうだろう。
けれども、心のありようによっては受け入れることが出来るようになる。
これは講座の最初のレクチャーで強調されていたことだ。
そして皆がこの日、松木さんの言葉を受け入れた。
みんなが同じように。