草刈の季節

gushoukuuron2005-04-19

4月も半ばを過ぎ、春も本番を迎えた。
春というとなんか、喜ばしい雰囲気がある。
桜は咲くし、鳥は囀り始める。
山の木々や草花は芽を吹き、緑が萌えるようになる。
新入学やらなにやら、
人間のサイクルにとってもスタートの時期でもある。
 
しかし田舎では、春になったということは、喜ばしいことばかりではない。
冬の間眠っていたものが活動を始めるのは、何も人にとって都合の良いものばかりではないのだ。
山仕事に出ればダニやヒルに喰いつかれるようになるし、マムシなんかにも出くわすようになる。
蝶々が飛ぶようになるのは良いが、幼虫が畑の作物を食い荒らす。
自然との格闘が始まる季節でもあるのだ。
 
そのなかでも一番の大敵は、雑草。
これから秋まで、こいつらの旺盛な生命力に悩まされることになる。
 
田舎の人たちは雑草が大嫌いである。
畑に生える雑草を抜いてまわるのはもちろんだが、
空き地の雑草も、草刈が実は好きなのではないかと思うくらい、刈る。
そんなこと言ったら怒られてしまうかもしれないが、私にはそう思えるほど、田舎の人は草を刈る。
徹底的に刈る。
何もそんなに目の敵にしなくても、というほどに刈る。
 
確かにボサボサと雑草が高く茂りこんでいるのは、気持ちの良いものではない。
ずぼらな私など、それはそれで自然の姿なんだから、構わんじゃないかと思わなくもない。
茂った雑草をきちんと刈っておかないと、その種が畑に入って草取りがもっと大変になるという理由はある。
しかし、それにしても...
 
今は刈払機があるから、手鎌で刈っていた昔より楽になっただろうと思うのだが、実はそうでもないらしい。
昔は、今では空き地となっているところも田んぼやら畑だったので、刈るのは道の脇くらいだったということ。
今は人手がない上に自分で作るよりも買ってきたほうが安いので、特に労力の要する棚田なんかは耕作放棄され、
仕方ないので生い茂る雑草を刈っているのだと。
 
春なのに、なんだか寂しい話になった。
だが、それだけではない。
もう間もなく草を刈る人もいなくなるだろう、と近所の爺さんは言いました。