人はなぜ繋がりを求めるか――青年マルコの冒険(10)by愚樵空論

当エントリーは、Under the Sunに掲載のコラムと同じ内容のものです。TBを当ブログより送らせてもらいますが、当コラムへのTBはUTSのコラムの方へお願いします。
 
草原を歩くマルコの背後から迫って来るものがある。どんよりと垂れ込めた雨雲が、マルコを追い詰めつつある。遠くで雷鳴が聞こえる。
「これは、降られるな。」
マルコは、呟いた。
前方に、あれは何の木だろうか、大きな木が見える。マルコはその木の陰の元で雨をやりすごすことに決め、歩く速度を速めた。が、雨雲はすぐにマルコに追いつき、頭上から大粒の雨を降らせる。
マルコは大きな木をめがけて駆け出した。だが木の下にたどり着いた頃には、全身がズブ濡れになってしまっていた。
「雷がこなければいいのだが...」
大きな木は、落雷の危険が高い。雷が近づいてくるようなら、木の傍を離れて濡れるのを覚悟で地面に伏せていなければならない。幸い、雷はこちらには近づいてくる気配はない。
「やれやれ、助かった。」
マルコは背負った荷物からタオルを取り出し、濡れた体を拭いた。
「それにしても大きな木だな。何の木だろう?」
木を見上げてみる。ふと、マルコの背の高さの倍くらいのところへ、掛け軸のようなものがぶら下げられているのに気がついた。
「あれは何だ?」
そのものをよく見ようと、数歩、木から遠ざかって見てみる。
それはやはり掛け軸だった。小さな枝にぶら下げられている。そこには「空即是色」の文字が書かれてあった。
「やあ、マルコ君。ようこそ」
頭上で声がした。
 
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