戦争絶滅請合法案

かつてデンマークで、軍人たちが戯れにつくった次のような法案を作ったことがあるそうな。
 

開戦10時間以内に、

  1. 国家元首
  2. 国家元首の男子親族
  3. 国会議員
  4. 代議士で戦争に反対しなかった者
  5. 宗教指導者で戦争に反対しなかった者

の順で、最戦線へ最下級の兵卒として送る。

平和と平等をあきらめないで見ました。
これはデンマークという王政の国を前提にしたものですから、順位については日本の国情に合わせるべきですね。そうすると

  1. 内閣総理大臣
  2. 国務大臣
  3. 国会議員
  4. 地方自治体の首長で戦争に反対しなかった者
  5. 地方自治体の議員で戦争に反対しなかった者
  6. 国家公務員で戦争に反対する意思を表明しなかった者

というようなところが妥当でしょうか。
日本が「愛国心の時代」に入るのなら、ぜひともこのような法律も成立させてもらわなければ。愛国者は国家危急の事態においては、身命を投げ打って国家の為に奉仕しなければなりません。そしてそれが名誉ある行いとされます。「愛国者」の代表たるものから順に死地へ赴いていく。そうなってこそ、日本は真の「愛国者」の国と世界に誇ることができるというものです。
それに教育の最上の方法は、模範を示すことです。よくやるじゃないですか、政治家たちのパフォーマンス。米国産の牛肉は安全だ、といってTVカメラのまえで喰ってみせたり。あれと同じです(笑)。
あと、罰則については最高刑は当然、死刑。法に違反した者は裁判所で裁かれるわけだけど、当然国民から選ばれた裁判員によって裁かれる。
 
...ふん、どうせできやすまい。よほどのバカでない限り、そんなことは予測がつく。
なぜ、このような法律が成立しないと考えられるか? この法律の要諦は「最下級の兵卒として送る」というところにある。「命令する者」が、戦争を機に「命令される者」にかわる。命令するもの=権力の側に居る者は、その力を自ら放棄することなどありえない、ということだ。「愛国者」というカテゴリーの中では「命令する者」も
「命令される者」も等しく平等であるはずである。ならば命令「する者」と「される者」の地位交代が行われても何の不思議もないのだが、実際はそうはならないだろう。「する者」と「される者」の間には格差は依然としてなくならないだろう。「格差はあって当然」と放言するような人間が総理大臣なのだから、明らかだ。
同じ「愛国者」であっても命令「する者」と「される者」は仲間ではない。そんな国を愛するのは「命令する者」だけだ。風土や文化は愛すればよい。これらは「命令する者」「命令される者」を分け隔てすることはない。だが「国という体制」は違う。分け隔てすることが前提になっている。
体制は愛さなくってもいいって? 体制側の人間の言うことは信用できん。東京都の教育現場の実態はどうだ? 信用しろと言うのであれば「戦争絶滅請負法案」を成立させてみろ。
 
けど、一番の問題は、本当は命令「する者」と「される者」が逆だってことだ。国民が「命令する者」。国家は「命令される者」。憲法はその契約。ここをしっかり踏まえてさえおけば、何も心配はないのだけど...。