WBC準決勝・日韓戦

<国別対抗野球>イチロー興奮「最高に気持ちいい!」
2006年3月19日(日) 21時18分 毎日新聞

 冷静沈着のイチローも興奮を抑えきれなかった。2連敗中のライバルの韓国を破った瞬間、チームメートと抱き合い、喜びで顔をくしゃくしゃにした。「きょう負けるということは、日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じですから。最高に気持ちいい」
 うっ憤を晴らすようにバットから快音を響かせた。七回に左前適時打を放つなど3安打。好投を続ける先発投手の上原を援護した。「野球はけんかじゃないけど、(韓国戦連敗は)本当にしゃくにさわりました」と、ライバル心をむき出しにして試合に臨んだ。
 開幕前の2月21日の公式会見。特別に韓国を意識したつもりはないが、「向こう30年は日本には手は出せないな、という感じで勝ちたいと思う」と発言したことが、韓国メディアに挑発的な発言と受け取られた。大リーグで5年連続200安打を記録するなど実績を積み上げてきたイチローの発言は想像以上の波紋を広げた。
 この日も、イチローは韓国応援団から激しいブーイングを浴びせられた。試合後の会見でも韓国・金寅植監督は「(イチローの発言は)韓国の野球界、ファンは侮辱を受けたとしてブーイングしたのではないか」ともらした。それでもイチローは「勝つべきチームが勝たないといけない。そのチームは僕らだと思っていた」と、自らを鼓舞するように強気な姿勢を崩さなかった。
 韓国からの批判だけでなく、「JAPAN」のユニホームに袖を通した時から、イチローは周囲の期待と重圧を背負ってきた。王監督が「イチローに余計なプレッシャーをかけさせたくない」と気遣うほどだった。
 イチローが目標に掲げてきた世界の頂点まであと一歩に迫った。「世界一をイメージしてオフから準備してきた。すべてはこの日のためにある。もう1試合、自分のすべてを表現したい」。その視線はすでに優勝戦キューバ戦に向けられていた。【田中義郎】

3度目の日韓戦で、やっと日本が勝利した。6-0でJAPANの快勝。これが本来の日本と韓国のの実力差なのか、はたまた時の運によるものなのか。それは見る立場によって違うだろう。それでよい。
それにしても、日本が勝利してくれたことは、うれしい。取り立てて興味を持ってWBCを観戦していたわけではないが、それでも「日本、勝利」の知らせには胸踊るものがる。相手が韓国ならばなおさらだ。
良くも悪くも、日本にとって韓国は特別な国だ。アメリカも特別な国だが、それとは比較にならないような、「絆」といってしまっては語弊があるかもしれないが、それに類したものを感じる。それは韓国にとっても同様だろうか。
日本の明治維新から第二次大戦敗北までも「不幸な歴史」があった、というだけではない。これはまさしく双方にとって「不幸な」ものであったが、日韓の付き合いは一時期の不幸な時代を超えて、はるかに長い交流の歴史がある。私は「保守」が好むこういう表現の仕方が好きではないが、「民族の記憶に刻み込まれた」ものがあるように思う。
 
それにしても、オリンピックといいWBCといい、スポーツは良い。選手が互いに国という共同体の代表として戦うのを、安心してみていられる。日本が勝ったということを手放しで喜ぶことができる。
TVで見た韓国国民のインタビューに「(サッカーの)ワールド・カップで雪辱を晴らす」というのがあった。是非そうしてもらいたい。もっとも日本サッカーは強いから、負けはしないけど(笑)。
 
WBC決勝戦は強豪キューバとの対決だそうだ。厳しい試合になりそうだが、ぜひとも勝利を収めてもらいたい。これは日本のためだけではない。韓国のためにも。そしてもし勝利を得たなら、いや、残念ながら勝利を収めることができなくても、選手の誰か、特にイチローにはにコメントをしてもらいたい。「韓国のためにも勝ちたかった」と。
 
追記:このWBCにおいて、アメリカが2次リーグを勝ち上がれなかったことについて。
負けた選手については、特にどうとも思わない。実力的には優れていたのだろうが、驕りがあったのだろう。それは本人たちが反省し、また再戦に賭ければ良いだけのこと。ただ難しいのは、アメリカはWBCの自らの「利益」のために企画した国だということ。その意図が実現できなかったことには「ざまあみろ!」と正直、思ってしまう。
けれど念を押すが、自らの利益を謀ったアメリカと選手たちが背負ったアメリカとは、同じアメリカでも別のものだと考えなければ。