岩国市住民投票・その後

政府、岩国市長を“冷遇” 米軍機移転問題 課長クラスで応対
2006年 3月17日 (金) 02:16 gooニュースより

 山口県岩国市の井原勝介市長は十六日、外務省と防衛庁を訪問、在日米軍再編に伴う米軍岩国基地への米空母艦載機移転について、先の住民投票で反対の意思が明示されたとして撤回を求めた。井原市長は閣僚との面会を求めたが、両省庁では課長・室長クラスが応対、移転について「地元の理解が得られるよう最大限努力する」などと答えるにとどまった。

 井原市長は要請後「これ以上の負担には耐えられないという強い思いが住民投票に端的に表れた。政府は拙速に事を運ばず、地元と協議を尽くしてほしい」と語った。

 防衛庁では、これまで関係自治体の首長らとの面談に額賀福志郎長官が応じたケースも多く、岩国市と合併する由宇町の町長が一日に訪れた際も額賀氏が応対していた。しかし、今回は国会日程などを理由に応じなかったという。

 政府の“冷遇”ぶりに、井原市長は「大臣にしっかり気持ちを伝えたかったが、どう対応されるかは国の判断。国会で忙しい時期だということも事実だろう」と話した。

 一方、小泉純一郎首相は十六日夜、記者団に「できるだけ理解と協力を得ることができるよう、努力していく」と従来方針を繰り返した。

国のこういった態度は当然予想されたものだが、それでもこうやって実際に報道されると、不愉快。地方を見下している態度がありあり。
政府からは、特に井原岩国市長への風当たりが強いという話。住民投票を選挙運動に利用したとか。
まあ、確かにそういった面はあったろうと思う。井原市長がこの手の追求にどうコメントしているのかは知らないが、本人が“全く関係ない”といっても信用する人は少なかろう。
けれど、これは政治家なら当然のことでしょう。選挙は政治家の宿命だから。井原市長が降って湧いた「米軍艦載機移駐問題」を好機として捉えたとしても、それは政治家としてしたたかであるという評価はあるにしても、卑怯だなどというのはあたらないと思う。それにそもそも大多数の国会議員に井原市長を非難する資格はない。彼らは自分のことを棚に上げるについては天才的な際を持っている人たちだから、こんなことくらい朝飯前なんだろうけど。
 
だがひとつ気になるのは、合併を予定している岩国周辺の市町村が移駐には賛成だということ。

岩国市除く基地周辺自治体 国へ統一要望

2006年03月03日 朝日新聞より

  米空母艦載機移転問題で、岩国市を除く基地周辺自治体の町村長・議長が2日、初めて統一して国への要望行動をしたことで、地域振興策を求める周辺町村は、住民投票に至った岩国市との違いを改めて鮮明にした。

  この日は合併や基地で岩国市とかかわる周辺10市町村のうち、前日に続く槙本利光・由宇町長を含む8町村の12人が参加。会談した額賀長官は再編案の最終報告について「3月中に結論が出るよう精力的に協議している。方向は固まりつつある」と説明した。

  町長らは、岩国市長が強硬な反対姿勢を取っていることから、市庁舎建設や岩国基地の民間機就航に向けた事業費への影響を懸念し、国からの支援を求めた。

  会談後、槙本町長は「由宇町以外は(普段は)大臣らに町や村の状況を伝えることができない。今日は意義があった」と述べた。

  新たな騒音被害が懸念される和木町の古木哲夫町長は振興策については「騒音がどう発生するかの把握が先だ」と述べ、「事案があれば(要望したい)」とも語った。同様の懸念がある周防大島町の中本冨夫町長は、6日に町議会で広島防衛施設局の説明を受けることを明らかにし、「騒音は町民が一番知りたいところだ」と述べた。

  合併で新・岩国市となる玖珂町の植野正則町長は「地域の振興を考えるのはみな同じ。国の方針が変わらないとされる中、振興につながってほしい」と話した。

岩国市周辺といってもどの程度地理的に離れているのか分からないが、とどのつまりは振興策、つまり国からの「下賜金」をあてにしているということだろう。
これはエゴ以外の何ものでもなかろう。
地方は地方でおのおの勝手にエゴ、国は国でエゴ、というなら一番力のある国に敵うはずもなし(ここらについては木走日記さんが大変面白いエントリを書いておられる)。
どこを向いてかしこを向いても、こうエゴエゴだらけだと、皇室だの愛国心だのというバックグラウンドが欲しいような気分にもなってくるのも無理はないか。この岩国住民投票も住民の意思を示したのはいいけれど、地域エゴに終わってしまってもっと大きなものに昇華することができなければ、国家エゴに飲み込まれてしまうというところが関の山か。