主索張り上げ

gushoukuuron2005-04-28

なんやかんや、いろいろ手間隙かかって
本日やっと主索の張り上げた。
主索は最も荷重がかかる架線であり、
もっとも太いワイヤーロープを使用する。
今回使用しているのは24ミリ。距離は約1,200メートル。
 
主索の張り上げには、右のような器具を使用する。
「ナンバ」というのだが、要は動滑車。
4・4で締め綱を回してあるので、引く力の8倍の荷重がかかる。
締め綱を引くのも機械動力で引っ張っているわけだから、主索にはどのくらい力がかかっているのかなぁ。
24ミリのA線だから、切断荷重は約29トンということにはなっている。
 
主索にどのくらいの張力が必要かということは、当然のことながら計算できる。
http://www.rope.co.jp/products/technical/th_03.html
けれど、山仕事の現場ではそんなことはしない。
いや、関係する役所に書類を出さなければならない事務所は一応そういう計算はしているのだろうけど。
そもそもいくら張力計算をしたところで、その基礎となるアンカーが立木だったりするから、
そのアンカーとなる立木がどの程度の力まで持ちこたえられるかなんて、計算できないからしようがない。
職人たちの長年の経験と勘が頼り、となる。
 
土木の世界なんかでは、張力を計算して何トンのアンカーが必要だから、
その重量に見合った何立米のコンクリートを打つためにどれだけの大きさの穴を掘って、
とか、やるのだろうけど。
 
こうした方が安全・確実なのは事実だろう。
山仕事のベテランさんたちの話を聞いていると、
立木の株が起き上がって主索がすっ飛んで荷物が谷底へ落ちた、なんて当たり前のように出てくる。
経験と勘による知恵もよいが、最初からそれを持っている人がいるわけはなく、
長年経験していてもその知恵が本当に頼りになるかどうか、分からない。
そういう意味では、計算できるということは素晴らしい。
知識とその知識の操り方をマスターすれば、誰でも結果を予測できるのだから。
 
けれど、やっぱり知識は知恵には敵わないと、私は思う。
そのことについて、またぼちぼちと愚樵空論を展開していきたいと思う。