luxemburg卿の別荘にて(2)

:えっと、何の話だったっけか?
麗子:クッキーを食べたら仮面ライダーに変身するというお話。
ばあやどうもこの小娘は仮面ライダーに御執心だのう ホホホ、お嬢様ったら初っ端からご冗談を。ルソーとホッブスからでございましょう。それにしても樵さん、ずいぶんと博識でいらっしゃいますのね。
:最近、ワシもブログにはまっているでの。中でもだんな様の「とりあえず」は愛読させていただいておりまする。お嬢様もそこで知ったんじゃ。
麗子わたくしをお父様のブログで知ったなんて、なんかオカシクありませんこと?
:間違えたました。ルソーとホッブスでごぜえましただ。
ばあや:どうでもよろしいけど、早くお話をお勧めになってはいかが?
:そうしたいんでガスが、言葉遣いが難しいんでやんす。
 
ええい、しゃらくせい!
こういうこってす。お嬢様もオババもルソーもホッブスも、ご自分の行動はご自分で考えて決めているとお思いでがしょう? へん、そうじゃねぇんだなぁ。ヒトもバッタと同じよ。環境が変わればそれに応じて行動も変わる。そんだけのことよ。
麗子:それは違いますわ、樵さん。今日のティーダージリンにしたのは、私が決めましたのよ。セイロンにしようか、アールグレイも捨てがたいものがあったのでございますけれど、意を決してダージリンにいたしましたの。バッタさんは葉っぱは食べるでしょうけど、お紅茶は頂きませんわ。
ばあや:そうですとも。いつもおぜうさまがお決めになりますのよ。
:お紅茶ったってリプトンのティーバックじゃねえか。クッキーもカントリーマアムだし。
麗子(怒)この樵ヤロウめ、バラしちまいやがった(怒) (引きつった笑顔で)食べられないと仰る割には、よくご存知ですのね。
どうもこの形式は、すぐに脱線しちまって話が前へ進まんな(お前の話はいつでもそうだ、と外野の声)。  紅茶とクッキーはこっちへ置いといて。ルソーとホッブスの話だがや。
旦那様の話によれば、ルソーはサヨク性善説で、ホッブスはウヨで性悪だと。
麗子:「説」を省いてはいけませんことよ。ホッブスさまは善良なジャェントルメェンでいらしたわ(たぶん)。
:はいはい。
ヒトを自然状態においたときに自律的に平和な状態を保つことができるか否かは、その置かれた環境によりまする。ヒトにとって良好な、即ち生存しやすい環境であるならばヒトの集団は自立的に平和を保つが、環境ストレスが高まり、ある一定限度を越えると相が変異し、小賢しい知恵を持つヒトは「歴史」を作るようになりまするのじゃ。
※二人同時に
麗子:あっ、それってきっと「失楽園」だわ。
ばあや:樵のくせに生意気な! 旦那様のお話にイチャモンをつけるなんて、クビよ、クビ!
:(オババは無視して)さすがはお嬢様でござりますのう。良いものをお持ちなのは容姿だけではないようでござりまする。
ばあや:まあまあ、樵のくせに。当然ですわよ、旦那様のおぜうさまですのよ!
:「文明の発祥」の答えは出るかと思っていたけど、「失楽園」が出るとは、驚きでごじゃる。ヒトの相変異を、肯定的に捉えると「文明の発祥」となり、否定的に捉えると「失楽園」。どちらもヒトに起こったある現象の一面を捉えたものに過ぎないのでごじゃる。
麗子:それって、どなたの説なの?
:そんなことは知りませぬ。敢えてえば愚かな樵の戯言、空論でござる。そんなもんでも公表できる場があるということが、ブログなのでござる。ブログの場においては、誰が説を唱えたか、などということは些事に過ぎませぬ。
 
(3)へ続く。