畑に就職

我が家には、畑がある。
我が家といっても借家なのだが、それでも我が家は我が家だ。
緑の雇用の面接のとき、少々古くても畑付の家がいい、
と希望を出しておいたら、森林組合の参事さんが紹介してくれたのだ。
 
まず下見ということで初めて訪れたとき、案内してくれた参事さんは、
「畑付きがいいというからここを紹介するけど、ほんとにここでいいの?」
と心配してくれた。
なるほど、かなり古い建物で、風呂・トイレは外。
そのトイレは水洗などであるはずがなく、当然の如く、汲み取り。
風呂は薪で焚く五右衛門風呂。
都会の人をここに連れてきても、まずトイレがネックになるのだ、と参事さん。
 
しかし、わが夫婦にとっては問題なし。
いや、できれはそれは水洗のトイレの方が良いし、マイナスポイントではあるのだが、
畑があるというプラスポイントと差し引きすれば、充分にプラス。
 
参事さんに、ここが良いのでお願いします、というと、
「都会の人がこういうホントの田舎家に住んでくれるのは嬉しい」といって、たいへん喜んでくれました。
 
というようなわけで、こちらでの新しい住居が決まり、
そして、私は山仕事、妻は野良仕事が新しい仕事となったのでした。