林業という仕事

私は林業という仕事を生業としている。
それまでにもいろいろな形で山に関わってきたのだが、
平成14年度より「緑の雇用」という国の事業で当地に移り住み、林業にたずさわることになった。
 
林業という仕事は、自然と関わる仕事である。
自然と関わり、そこから収穫を得ることを目的とする産業であるが、
ただ収穫を得るだけで良しとするのではなく、次回の収穫のために森を育てるという循環型の産業で、
その点は農業と同じ性格をもつが、農業よりそのサイクルはずっと長い。
 
その林業が、日本では長らくの低迷から抜け出せないでいる。
その原因は多くは林業界の内部にあり、その点についてもいろいろと意見を記していきたいと思っている。
しかし、長いサイクルを必要とする林業が移り変わりの速い現代の社会のあり方に適応するのは、
そもそも無理なのでないか、と私は考えるようになった。
そして、林業という自然のサイクルに立脚した産業が社会の中で機能できないということの原因は、
自然のあり方と社会のあり方があまりにも乖離してしまったところにあるのではないだろうか、と考えるのである。
 
このことは、今、「環境問題」として大きな関心を呼んでいる問題である。
「人間社会」「自然環境」について、森の中で考えることを
「人間の都合と自然のルール」のカテゴリーのなかで記していきたい。